「亥の子」さん忘れてませんか?
旧暦の10月の最初の亥の日。
この日を「亥の子」といい
新暦だと今日11月11日になります。
広島地方ではこの日を
こたつやストーブを使い始める日としており
冬の始まりを告げる風物詩となっています。
「亥〜の子亥の子
亥〜の子餅ついて
繁盛せい繁盛せい!」
町内を回って各家の前でこの歌に合わせて
みんなで石の杵を打ち付ける
「亥の子」祭り。
広島ではこの祭りを
暖房の使い始めの日としてきました。
この日から暖房使い始めると
火事に遭わないと伝えられています。
「亥の子」の由来は古代中国の
「亥子祝(いのこいわい)」だそうです。
亥の月の亥の日の亥の刻に
穀物を混ぜ込んだ餅を食べると
病気にならないと言う風習があり
無病息災を願う儀式でした。
またイノシシは多産なので
子孫繁栄を願う意味もあったようです。
また摩利支天の使いとされ
火災から守っていただけると考えられていました。
「亥の子」は平安時代に日本に伝わり
宮中行事に取り入れられたそうです。
江戸時代には一般に広がり
この日にこたつ開き炉開きが行われ
こたつや火鉢を使い始めたそうです。
私が子供の頃は
秋祭と並んで町内がとても盛り上がる行事でした。
特に「亥の子さん」は亥の子餅をついた家から
お菓子や果物のご祝儀がもらえるので
それをいっぱいもらって帰るのが
毎年とても楽しみでした。
少子化が進んだ現在。
子供主体の地元行事年々衰退しているようです。
特に昨年からのコロナ禍で
ほとんどの行事が中止されているようです。
かつて戦争や災害で中断した地域の行事が
そのまま忘れ去られ途絶えた例がたくさんあります。
長い時間をかけ
親から子
子から孫へ受け継いできた地域の伝統文化
子孫へ伝えていきたいものです。
オリーブハウスではこれまで
お祭りに使うさかきなどの調達を通じ
地域行事をお手伝いしてきました。
あらゆる面で社会の分断化が進む現在。
せめてお祭りなどを通じ
地域のつながりだけでも守りたいものです。
コロナ禍が収束した時
いつでも「亥の子さん」が復活できるよう
記憶だけはしっかり留めておきたいと思います。